MONSGEEK FUN60( Pro SP / Ultra SP / Ultra ) 提供レビュー

結論
・買うなら「UltraSP:12,980円」がイチオシ。
・激安の「ProSP:5,980円」は欠点を承知の上で買うことができる玄人向け。
・TMRセンサの「Ultra:18,980円」は性能面よりメカニカルスイッチ拡張性を重視する人に。
FUN60 Pro SPの評価
結論にも書いたが、最安値モデルの5,980円のFUN60 Pro SPは初心者向けという立ち位置とは少し違うと感じる。
もちろん、値段の安さから手に取りやすいエントリー帯商品なのは間違いない。だが、その魅力は実のところ、もっと深いところにあると感じている。
最大の魅力は、安いので気軽に改造できる点だ。私も(あまりの打鍵音の酷さに)分解後に即テープMODし、ボトムにEVAフォームを入れて変化を楽しんだ。
そういう「手を入れて変化を楽しむための素材」としてこれ以上素晴らしい磁気キーボードはない、断言できる。
浮いたお金で凝ったキーキャップを買っても良し、ルブ挑戦も良し。ホームセンターでいろんな素材買ってきてスッカスカの中身に詰め込んでみてもいい。カラッポの方が夢詰め込めるって長老も言ってた。
そういう「既製品カスタム」の楽しみが最高にあるのがPro SPだ。ランエボでいうRSなわけ。エアコンない、オーディオない、ファブリックシートに鉄チンホイール。
そして中身は紛れもなく最強、活かすも殺すもカスタム次第…Pro SPはそういう存在に感じるんよ(偏った思想)
だって完成品で5,980円はおかしくないか?wooting60HEの予算でFUN60が5台買えるぞ。
FUN60 ULTRA SPの評価
価格的にちょうど中間に位置するモデルで、主な違いはキーボード本体(ケース)がプラスチックからアルミになる。これとんでもないよ。
普段はコスパという言葉を使わないように心がけているが、今回は流石に使いたくなる。
キーボードのアルミケースは単品で買うと1万円以上するからだ。2万円以上する製品も多い。だがこのキーボード、税込12,980円である。なぜ?
これをコスパと言わずして何をコスパというのか。基板とスイッチとキーキャップが実質無料みたいなモノではないか。
発売されるモデルの多さと値下がり傾向は、磁気キーボード大好きおじさんですらドン引きするレベルだが、そんな中でも、アルミボディでこの価格はマジの価格破壊だと主張したい所存。
だから、ガチめにやばいのはUltra SPだと思う。買うならこれを買うのだ。コスパの鬼だ。5,980円に騙されてはいけないのだ。いや、あれも十分いいんですけど。
ちなみに内部には申し訳程度のペラい緩衝材が入っている。これにより、「チープ」を具現化したようなPro SPから、アイテムとしての高級感と打鍵時の静音性とクッション性が向上している。
ただ、あくまでPro SPという「史上最低クラス」と比較すればの話であり、必要最低限、あるいは必要にして十分という感じ。
どうせゲームに使うのがメインなんだから、打鍵音とか打鍵感とか、どうでもよくねえか?という主張は一理あるが…。
FUN60 ULTRAの評価
ややこしいことにUltra SPよりもUltraのほうが格上の扱い。基本的な性能やボディ、外観はUltra SPと共通となっている。
最大の違いは「ホールエフェクトセンサー」の代わりに「TMRセンサー」が採用されていることだ。コントローラー(パッド)に詳しい人なら知ってる人も多いかもしれない。
MONSGEEK曰く、高精度、低遅延…他にも色々と「とにかく凄いぞ~!」ってことらしい。しかし使っていて、あるいは計測して違いは無さそうだった。HEモデルが優秀すぎたか。
違いを感じられなかった性能はさておき、最も興奮したのが「メカニカルキーと交換可能」という点である。当然ながら普通の磁気キーボードは磁気スイッチしか装着できない。
だがこのTMRモデルは、同じPCBのまま、5ピンのメカニカルキースイッチをぶっ刺せる。
しかもWASDだけ磁気スイッチのままにして、正常に0.01mm動作しつつ、メカニカルスイッチも正常動作する。凄いぞ。PCBの裏面とかまじやばい。ぜひ見てほしい。もういろんなアレやコレがぎっしり。エロすぎ。
※これで興奮できないなら君にTMRセンサのUltraを買う理由はない。帰ってくれ。
性能について
公表している主なスペックはRT 0.01mm~、
AP0.1mm~、PR 8000Hzという現時点(2025.3)で最強クラスのもの。最安値のPro SPから最高値のUltraまで共通の数値だ。
性能について評価するにあたり、あり得ない価格故に懐疑的な目で評価に臨んだことは否定しない。こんなに安くて性能もいい(公表値)なんて信じられないじゃないすか。
まず遅延について。本体遅延を測定できるMagtesterを利用し計測したところ、平均で0.1ms。この時点で相当キモい。めちゃくちゃ低遅延である。
しかも3モデルとも全部。ほぼ違いがない。怖い。安くても高くても性能は全部同じである。
もっとも低遅延だから他のキーボードより遥かに優れている!!と言いたいわけではないことに注意してほしい。
正直1ms以下は誤差の範疇だと考えているので、これが10msとかにならない限り問題ないのだが、遅延は少ないに越したことはない。たとえば格ゲーでお馴染みの1フレーム(1/60秒)ですら16.7msである。
ここでの重要なポイントは「利用時にキーボード由来の遅延はほとんどないであろうことが製品で確認された」ことが重要だと考える。
遅延計測値
Magtester&Bushound : 計測回数100回 中央値 / 平均値 (10%トリム平均)
Pro SP(プラスチック) 0.123ms / 0.118ms
Ultra SP(アルミニウム) 0.117ms / 0.117ms
Ultra(TMRセンサ) 0.118ms / 0.118ms
体感できない性能が保証されたとしても、それがどれだけの意味を持つのかという意見は理解する。
しかし「体感できる遅延」というものが個人の能力に依るガバ基準である以上、素人測定であっても、少なくともこの検証は私自身の納得性において非常に意義はあるのだ。
RT精度について
3モデルでボトムデッドゾーン込の最短リセット距離を測定した。
これは「スペックには0.01mmって書いてあっても、実際のところ最後まで押し込んだ指をどれくらい離したら入力オフになるか」という数値を計測したものだ。
ボトムデッドゾーン計測値
ミツトヨMHN3-25MX: 計測回数WASDF各10回(20%以上の外れ値を除く)
Pro SP(プラスチック) :0.013-0.045mm
Ultra SP(アルミニウム) 0.012-0.028mm
Ultra(TMRセンサ) 0.017-0.061mm
※ボトムデッドゾーンの測定は非常に繊細で誤差も多く押し込みパワーによっていくらでも増やせるので、この数値も参考値です。
キーによって幅があるとはいえ、どのキーで何回測定しても、力任せにキーを押し込まない限り、ボトムデッドゾーン込で0.1mmを超えてくることはなさそう。
その事実が確認できただけで、十分「素晴らしいスペック」といっていい。
そのため「ボトムデッドゾーンが多い=劣っている」という図式にはならない。0.01mmを謳っているのに計測したら1mm超えている、などと極端なものでなければ、ほとんどは誤差であり、「どれも十分に高性能だね」で済む話だ。
そもそもメーカー側もドライバで最短設定は不安定なので非推奨となっているし、インゲームに0.01mmの違いを感じ取れるプレイヤーは存在しないと思う。
しかし「ボトムデッドゾーンが実際は◯mmくらいありますヨ」ということを書くメーカーはいない。
実測値は組み立て精度やユーザーの環境により大きく異なる。それを踏まえた上で余裕を持って記載するとまるで「他のメーカーより劣った性能」に見える恐れがあるのだろう。
彼らも商売だし、それに踊らされる、あるいは助長する私のような人間がいるから止められないのかもしれない。書きながらあらためて反省している。
とはいえ、何度も繰り返すが、私はボトムデッドゾーン、あるいはラピトリ精度については「短いに越したことはない」という話と「短い方が機種として優れている」という話はイコールではないと考えているので、ご承知おき願いたい。
総括
3モデルとも、それぞれの価格帯で非常に高い完成度。特にUltra SPは価格を考慮すれば出色の出来。
どれを買っても後悔しないだろうが、単純に安いからという理由でPro SPを買うのはおすすめしない。
TMRセンサモデルが特別高性能というわけではないので、性能重視の人も安心してPro SPかUltra SPで大丈夫。
Ultraモデルは、この楽しさが想像できる沼の住人や、新しい物好き向けのアイテム。ぜひ楽しんでほしい。
