Darmoshark KT65MAX 提供レビュー

結論
Darmosharkのフラグシップモデルに位置づけられているだけあり、重量感のあるボディと触り心地のよいキーキャップ。性能もAP/RP 0.01mm、デッドゾーン0mm設定可能で実測値も誤差範囲に収まる。打鍵感はしっとり滑らかで、静かなコトコト系が好きな人向け。

価格
28,800円。購入しやすい価格帯のイメージが強いDarmoshark製品としては、かなり思い切った価格設定だが、その価値はある。
見た目や快適性を無視して性能のみを重視するのであれば、1万円台のラピトリキーボードでも十分高性能な製品が買える最近だが、KT65MAXに採用されているJade Proや各種付属品、ボディやキーキャップの質感などを考えれば納得できるレベル。
外観、質感(高級感や満足感があるかどうか)
開封した瞬間に、キーキャップのデザインと質感の良さに驚いた 。確実に今回のイチ推しポイントの一つ。
キーキャップデザインで漢数字ベースのデザインは珍しいが、日本人オタクにとって漢数字の大字(壱、弐、参…)は古来より慣れ親しんだ表現なので、全く違和感がない。漢字圏ならでは楽しみと言える。

落ち着いた配色の中に鮮やかなオレンジのエンターキーが素敵。

あちこちにE-SPORTSとかCOMBOとかASSISTとか入ってる。
レイアウト
変則的なレイアウトで、80%TKLのファンクションなしというか、65%を横に伸ばしたような感じ。
ゲーミングキーボードで人気のある65%レイアウトで困るのが、中途半端な位置にあって誤爆しやすい DEL キー なのだが、独立して通常 TKL と同じ位置に設置されているので使いやすい。矢印キーの配置も使いやすく、普段遣いでも非常に便利。
ただこの配置にするならファンクションキーがあっても良かった気もする。縦幅を狭めることで外観はグッとコンパクトになっている。
打鍵感・打鍵音
今回の製品で最も衝撃を受けた部分。プレートの固定はトップマウントで、緩衝材の類は少な目なのだが、それを感じさせない凝縮感がある。ボディやプレートの周りの設計が優秀なのと、組付け精度が高いためと思われる。
それだけに本当にスペースバーの感触がもう少しよければ…と思わずにいられない。MorkBladeやZENT75といった質感のいいゲーミングキーボードも増えてきている中、柔らかさや静粛性など方向性こそ異なるが、けして負けていないデキだ。
最後に「カツン」という打鍵音だけが静かに響くのが心地よい。いずれにせよ固めのマウントを好む人向けだが、繊細な性能を活かすためには間違いなくカチカチに固定されているプレートの方が良いわけで、この方向性は歓迎。
付属品

Darmosharkロゴ入りのキャリングケースに収納され、シュリンクされたものが段ボールに入った状態で届いた。箱が無いぞ?…聞けばなんとこのケースが梱包だという。


つまり箱ではなく、このキャリングケースが化粧箱代わり。このキャリングケースが段ボールに入った状態で皆様のお手元に届くことになるかもしれない。
USBケーブルはコイルケーブルが付属しているが非常に微妙な品質。硬めでクセが取れない。どうしても机の上でケーブルが収まらずに空中で暴れるので、見た目を気にする人は使いづらい。

せっかく鮮やかなオレンジで見た目はいい感じだが、キーボード本体との完成度に差があるように感じた。
しかも、よりによってこのキーボードはUSB差込口が右上にある。中央へケーブルを出そうとすると、コイルケーブルが本来の向きと逆向きになってしまうのだ。(下から入って奥へ行き、上から手前に戻ってくる巻き方)

当然ながら、通常の巻き方向で挿すと、コイル部分がキーボードから遠く離れた右上へいってしまう。

これならコイルケーブルじゃなくて、取り回しがいい普通の布巻ケーブルが付属したほうがマシ。
スイッチの軸ブレ(キーキャップ装着時)
初期装着スイッチは定番のJade Pro。交換用にJade Gamingが4つ付属する。
トップ時の軸ブレ
かなり少ない。指を乗せた状態でのぐらつきはかなり少なめ。
ストローク中の軸ブレ
かなり少ない。Jade Proは、性能と娯楽性を両立しているバランスのいいスイッチだと思う。
底打ち時の軸ブレ
かなり少ない。使用時に気になることは無さそう。
設定画面
正直なところ、初心者には直感的に使いやすい設定画面ではない。ある程度詳しい人や、英語・中国語に抵抗感の無い人なら使いこなせるだろう。ただ、現状ではまだ開発中の画面なので、今後改善されることを期待。
設定可能なのはAP・RP(0.01mm)のほか、デッドゾーン(0mm~)、連続RT、底付き最適化(底打ち時の入力切れ防止)など。他にもDKS、MT、SOCDなど一通りそろえている。
アクチュエーションポイントの設定を変えると、それに応じてスイッチのグラフィックも変化するので視覚的にわかりやすい。また、トリガーストロークは水色のバーを上下にマウスで移動することで設定できる。

デッドゾーンの設定をONにすると、上部に水色で0.00mm、下部にオレンジ色で3.40mmという文字が表示される。それぞれの「文字」をドラッグ(選択しながら移動させる)ことで調整が可能。
水色を調整すると押し始めのデッドゾーン(反応しない範囲)を設定できる。オレンジ色で底打ちから離しはじめに反応するまでのボトムデッドゾーンを設定できる。
※現行バージョンだと、このときの「選択できる文字」の当たり判定というか、マウスで動かせる部分が非常にシビア狭いため、動かしづらいので注意。設定としては、最短での反応を求めるのであれば、水色は0.00mm、オレンジ色は3.40mmのままでよいので、あえてデッドゾーンを変更することは基本的には無い。
設定画面では適用スイッチを選択することができ、初期装着されているGateron Jade Gamingのほか、TTC KOMシリーズ、RAESHA社とDarmoshark共同開発のPink Amber switchにも公式に対応予定。
PinkAmberはまだ開発中のスイッチなので詳細は発表されていないが、Initial Forceが28g±10g(幅が広すぎる気が)、ストロークは4.0±0.2mm、Maximum Forceが50g±10gfとのこと。
詳しくは別の記事でも解説予定だが、正直なところ設定ソフトはわかりにくい。日本語メニューも用意されているのだが、翻訳が怪しかったり、表記スペースが足りなくて途中で切れるなど、まだ調整不足が目立つ。代理店さんも課題として認識しており、今後のアップデートで解消される予定。
ラピッドトリガー性能
ボトムデッドゾーン込み最低反応計測値
0.05㎜(底打ち保護時:0.12㎜)
ストローク中の最低反応値
0.01㎜
Magtesterを使用した遅延実測値(上下10%を排除した平均)
LED点灯ありMagtester
0.45ms
LED点灯なしMagtester
0.42ms
総括
・外装、打鍵の質感がよい
・性能は表記数値に近く問題ない
・個性的な配列だが意外とコンパクトで使いやすい
・スペースバーとコイルケーブルが微妙
おまけ
謎の着脱可能なパーツについて
キーボード右側、DELキーと矢印キーの間には、マグネットで着脱可能な長方形のパーツがある。カチャカチャと付けたり外したりしても特に何か変化がある様子は無い。どうしてもわからなかったので代理店に聞いてみたところ「私もわからなかったので聞いたんですが…特に意味はないそうです」とのこと。
実際には、いつかワイヤレス対応のキーボードもリリースしたいという考えがあり、無線モデルが出た際にはその部分にドングルを収納できるように設計しているということらしい。
というわけで、こちらの謎パーツについて代理店担当者さんのおすすめの使い方は「無心になりたい時にいじる」「ポジティブに考えるとハンドスピナーのような類のもの」とのこと。