GRAPHT MINI DAC for GAMING / THE SHOOTER 小さなDACの取り回しと、FPS用イヤホンの聴こえ方
PR。GRAPHTからサンプル提供を受けたレビューです。2025年7月4日にXで公開したレビューから、実際に使ったときの記録を抜粋します。 本文中の価格は投稿当時のものです。
小さいからこその存在感
GRAPHT MINI DACの第一印象はとにかく小さい。PCゲーマーが使うDACといえば、弁当箱くらいの据え置きサイズが中心で(※この解釈はデバイスオタクがひしめく私のフォロー/フォロワー基準であり、現実とは恐ろしく乖離している可能性がある)、小型のドングルDACでもライターやMONO消しゴムくらいのサイズはあるものだ。
ところがこの製品は成人男性の小指の先ほどしかないサイズ感で、デスクの上にあっても邪魔にならないどころか、気を付けていないと見失ってしまいそうなほどだ。そんなワケあるかと思うかもしれないが、ケーブルに接続しないで本体だけで置いておくとマジで行方不明になるレベル。(机の上を片付けろという指摘は甘んじて受け付けよう)
実際にゲーミングデスク環境に設置してみると、むしろ大きなメリットとなる。ゲーマーならわかると思うが、デスクのスペースは常に有限で、コンパクトで邪魔にならないのはそれだけでありがたいのだ。ほら見ろ、みんな机の上は結局片付けられないじゃないか。俺は知ってるんだからな。
接続性と取り回し
USB-C接続で電源供給も兼ねているシンプルな設計。ヘッドホン端子も標準の3.5mm4極ジャックで、使い勝手は抜群に良い。マイク付きのイヤホンやヘッドセットでも利用できる。スマホでも使える。
特に付属しているUSB Type-A to Type-Cケーブルがなんと驚愕の2m(!)もあるため、PCやゲーム機が遠い場所にある人でも安心できるのが心強い。この超長いUSBケーブルを付属した人は、きっとPCゲーム環境の実態をよくわかっている人なのだろう。ありがとう、開発者の人。
サウンドの実力
まず最初に言っておくが、「万能的にめっちゃ音が良くなるアイテム」ではない。FPS用途に限って使うには「なるほど、かなり割り切った音だな」といった感想。モードは4つあり、ノーマル(LED点灯なし)、FPS(LIGHT)、FPS(HEAVY)、RHYTHM(音楽用)。
はっきり言ってしまうと、RYTHMモードはオマケのようなもので、同価格帯の音楽用ミニDACや1万円前後のドングルDACと比較するのはちょっと酷かなといった感じ。FPSゲーム用と割り切り、音楽を楽しむなら他の製品も購入して併用することをオススメしたい。
ノーマルはドライな特性かつ、全体的に控えめといった印象。かなり抑揚がない。ただ、同社から発売されている「GRAPHT ゲーミングイヤホン THE SHOOTER」を使用するときは、このノーマルモードを使用することが推奨されている。後半のレビューでも触れるが、イヤホンの個性があまりにも「FPS特化型」であるため、FPSモードで効果を重ね掛けしてしまうと、逆に聞き取りづらくなるためだ。過ぎたるは及ばざるがごとしってやつ。
FPSモード
FPSモードに切り替えると、風切り音のような環境音や、カサカサしたタイプの音が強調される。多くのFPSでは足音がこのようなちょっとカサついた中音~高音に位置していることが多い。イヤホンではFPS(LIGHT)、ヘッドフォンではFPS(HEAVY)を使用することをメーカーでは想定していると商品説明には書いてあった。FPS HEAVYにすると、ちょっとだけ重低音要素が増える。
確かにFPSモードでは足音や銃声などゲーム内の重要な音の位置や距離感が掴みやすい。とにかくドライで、ゲーム内では余計な味付けとなりがちな音の余韻や響きを徹底的にカットしている。足音のようなカサカサ音、コツコツ音はエッジが立って聞き取りやすく、例えばVALORANTのヴァンダルの銃声のような「ズドドドォン」の「ォン」の響く部分をごっそりカットしているような音だ。
ここが惜しい
あえて不満を言うならば、シンプルさ故に機能的な拡張性はほぼ皆無なところか。イコライザー設定やバーチャルサラウンドのようなソフトウェア的な補助機能はないため、音にこだわる上級者にとっては物足りなさを感じる可能性はある。
また、サウンド評価でも触れたが、ゲームに必要な音を取り出すことに長けたDACであるため、リスニング用途には向いていない。足音や銃声だけを取り出すには問題なくても、音楽を楽しもうとすると空間が平面的なことや、カサつきが気になる。ボーカルを彩る表現力や、空間を広げて高音の伸びから突き上げるような低音までカバーするようなパワーはない。とはいえ定価5,500円でこのサイズの製品にそこまで求めるのは酷かもしれない。
デザインと装着感
シンプルで無骨なデザインは、いかにもゲーマー向けといった感じ。滑り止めのローレット加工が施された黒一色のアルミ筐体でなかなか渋い。ただし横にはデカデカと”G”が入っており、対象年齢によってはウケるかもしれないが、ちょっとした気恥ずかしさもある。
イヤホンは小型軽量で、数時間に及ぶ長時間のゲームプレイでも快適。近年主流となりつつある耳掛けタイプではないため、耳掛け式がNGだった人でも気にせず使える。その分、重さは耳の穴にかかるわけだが、本体が軽量なためそこまで気にならない(個人差はあるだろう)
イヤーピースはLMSの3サイズ付属しており、右と左で色分けされている配慮はありがたいのだが、ちょっと硬いのではないかと感じた。
この硬さでは耳へのフィット感が落ちるので、どうしても密着感が落ちて音に「スカ感」が生まれる。このイヤホン自体が、「狙ったスカスカ感」を演出していることもあり、より強調する形になっているが、final TWSイヤホン用イヤーピース (TYPE E)のような柔らかくて耳の穴に密着しやすいイヤピを使うことでより詳細な情報を取り出しやすくなる。ぜひ使用する際は交換してみてほしい。ただし、密着感は「閉塞感」とのトレードオフなので、その感触が苦手な人は無理に交換する必要はもちろんない。
音質とゲーミング性能
肝心の音質については「FPS/TPSにおける定位感や銃声の聞き取り性能に特化させよう」という意思を感じることができる。敵の足音や銃声は聞き分けることができるし、方向感も把握できる。効果音が集中する音域が強調されており、FPS/TPSプレイヤーが求める「音による索敵能力」に特化させようとしていることを強く感じた。
これは言うならばゼロカロリー的なコーラだ。求められている爽快感とコーラっぽい後味は残しつつ、甘美な深みをもつ砂糖は大胆にカット。美味しさとしては寂しさを感じるものの、必要な要素はしっかり残されているのでそこに意識が向くことで際立たせている、そんな感じ。
その分、全体的にパワー不足でラジオっぽい音になっている感じもある。狙った音作りの結果であり、けしてデメリットとは言えないと思うのだが、どうしてもそう表現せざるを得ないのは私のレビュー力(ぢから)不足であろう。
マイクの実用性
インラインマイクの音質は、インゲームVCで使う分には問題ないだろう。配信に使うにはちょっと厳しい。
気になった点
特化しすぎたチューニング故に、音楽鑑賞や一般用途としての使い勝手は正直かなり微妙。あくまでゲーム用途専用という割り切りが必要。また、イヤーピースがかなり固め・薄めで装着感がイマイチよくないので、メインで使っていくなら交換推奨。
使用時の記録 2025-07-04の投稿
