TMR要素センシングの原理について
TMR角度センサーとは?
https://product.tdk.com/en/techlibrary/productoverview/tmr-angle-sensors.html
1. TMR技術(トンネル磁気抵抗)とは?
TMR(Tunneling Magnetoresistance、トンネル磁気抵抗)技術は、磁気抵抗効果を利用した技術の一つです。簡単に言うと、磁場が変化すると、電気の流れに対する抵抗が変化する現象を利用しています。具体的には、TMRセンサーは「磁気トンネル接合」と呼ばれる構造を持ち、2つの磁性層を絶縁体で挟んだ構造で、外部の磁場が変化すると電気抵抗が大きく変化します。この特性を活かして、非常に高精度な角度測定が可能になります。
2. 角度センサーとは?
角度センサーは、物体の回転角度を測定するためのデバイスです。TDKのTMR角度センサーは、例えばモーターのシャフトや車のハンドルなど、回転する物体の角度を正確に測定することができます。これにより、機械の動作を正確に制御したり、位置をフィードバックしたりすることができます。
TMR角度センサーの特徴
1. 高精度な角度測定
TMR技術を使用することで、非常に微細な磁場変化も検出することができ、非常に高精度で角度を測定することが可能です。これにより、精密な位置決めが求められる機器やシステムで重宝されます。
2. 低消費電力
TMRセンサーは、非常に低い消費電力で動作するため、バッテリー駆動の機器にも適しています。例えば、電動車や携帯機器など、電力消費が重要なアプリケーションで使用されることが多いです。
3. 高耐環境性
TMR角度センサーは、温度変化や湿度、振動などの過酷な環境にも強い特性を持っています。これにより、産業機器や自動車、航空機などの厳しい環境下でも安定して動作します。
TMR角度センサーの動作原理
TMR角度センサーは、主に以下のように動作します。
- 磁場の影響を受ける構造
TMRセンサーの内部には、磁性層と絶縁体層を交互に配置した「磁気トンネル接合」構造があります。この構造に外部の磁場が作用すると、電流の流れや電気的抵抗が変化します。 - 回転角度に対応する磁場の変化
回転する物体に取り付けられたマグネットが磁場を発生させ、この磁場がTMRセンサーに作用します。物体が回転すると、その磁場の方向が変化し、センサーはその変化を捉えて角度を算出します。 - 出力信号の生成
磁場の変化に応じて、TMRセンサーが検出する電気抵抗の変化を基に、角度に対応した出力信号を生成します。この信号を用いて、物体の正確な回転角度を計測します。
TMR角度センサーの利用例
TMR角度センサーは、非常に高精度で低消費電力、かつ耐環境性に優れているため、さまざまな分野で利用されています。代表的な利用例は以下の通りです。
1. 自動車産業
自動車のステアリングホイールやシャシーの角度を測定するために使用されます。高精度な角度測定が求められる自動運転技術や車両制御に役立っています。
2. 産業機器
産業用ロボットや工場の自動化機器でも使用され、機械の動きや位置を精密に制御します。これにより、生産ラインの効率化や精度向上が可能となります。
3. 家電製品
小型化されたTMRセンサーは、家電製品にも組み込まれ、回転する部品や位置の計測に利用されています。例えば、モーターの回転角度を測定するために使用されます。
4. モーター制御
モーターの回転角度や位置を正確に制御するためにTMRセンサーが利用されます。これにより、モーターの効率的な動作が実現できます。
まとめ
TDKのTMR角度センサーは、TMR技術を利用した高精度な角度計測センサーです。TMR技術は、磁場の変化に伴って電気的抵抗が変化する性質を持ち、この特性を使って非常に高精度な角度測定を実現します。さらに、低消費電力や高耐環境性を持ち、自動車産業や産業機器、ロボット技術など、幅広い分野で利用されています。
このように、TMR角度センサーは、精密な角度測定が求められる場面で非常に有効なデバイスとなっており、今後の技術発展にも大きな影響を与えることが期待されています。