キーボード

IROK ND63 PRO 提供レビュー

aojimax
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公式スペック最強クラスながら、実売価格6,000円代という恐ろしい価格で売られているラピッドトリガーキーボード。安い、安すぎる。こんなに安かったら「ダメなところがあるのでは?」と疑いたくなるのが人間というモノだが…。

結論:いいと思う

ただでさえ安いMU68 PROを性能そのままに徹底コストダウンした製品という印象。

実測値でも2~3万円するライバル製品とほとんど変わらない性能。デザインもシンプルな黒/白で使いやすく、チープさを感じさせない造り。

格安モデルにありがちな「打鍵感」「打鍵音」周りの対策をサボっていないのが非常に好印象。特にスペースバーのスタビライザー空間を埋めているのと、ケースの底にシリコンパッドを敷いてあるのは、MONSGEEK FUN60のような1万円以下ライバルに対し明確に勝っている部分。

ただしスイッチの感触は微妙(性能に問題はない)。微妙な点については後述。

ちなみにMU68 PROやMU68 ULTRAの「IYX」というブランドは「IROK」と同じメーカーの兄弟(あるいは姉妹)ブランドで、設定のWEB画面も共通。

性能はよい

性能は2万円のMU68 PROとほとんど変わらない。ボディが金属からプラスチックになって、スイッチしょぼくなったねって感じ。「なるほど、ここでコストダウンしてるから価格安いのね」ってわかりやすいのは消費者からしたら納得感がある。

公称スペックはアクチュエーションポイント最小0.02㎜、リセットポイント最小0.02㎜、デッドゾーン設定最小0㎜が可能。ポーリングレートも8000Hzでライバル機達と同じ。

現状(2025.02)最強クラスとなっているMADE68PROやRainy75RT0.01㎜には負けているが、ここまでくると人間の能力的にも、機械の精度的にも誤差と言い切れる。

0.02㎜設定にしてマイクロメーターを利用して実測してみたところ、底打ち状態ではない中間地点でのラピッドトリガーはちゃんと0.02㎜~0.04㎜で入力がON・OFFされた。カタログスペックに偽りナシ。(他のモデルも中間地点は公称スペックに近いことが多いので特別優れているわけではない)

マイクロメーターによるラピッドトリガー数値検証

ボトムデッドゾーンの設定をゼロにしても、実質的には底打ちからキーを0.02㎜離しただけではオフにはならない。これは他のキーボードと同じ。

指で押し込む強さにもよるが、デッドゾーンゼロかつ0.02㎜設定でも底打ちから0.1から0.2㎜ほど離して初めてOFFになる。

この点について、高性能で有名な一部のキーボードには敵わないが、2023年から2024年初めに発売されている大手製品(Apex ProやRazer Huntsman、Logicool PRO X TKLなど)には圧勝しているので安心してほしい。

※最小設定値0.02㎜やデッドゾーン0㎜にすると「※不安定なので非推奨です(意訳)」的な警告が出ますので、使ってて不安定だなと思ったら数値を上げて調整するとよい。

遅延について

より低遅延になる代わりに、トリガー感度が低下するスーパー応答モードというのが用意されているが、正直使わなくてもよい。

Magtesterによる遅延測定値は以下のとおり。正直なところスーパー応答モードのON/OFFによる差はごくわずか。

Magtesterによる遅延計測

キャリブレーションがしやすい

IROKのソフトウェアで最も素晴らしい点の一つにキャリブレーション機能の充実がある。

日本語対応しているので説明がわかりやすいことに加え、キャリブレーションが完了したキーは赤から緑に変わるのだ。

キャリブレーションのやり方についても「普通の力で最後まで押し込んで、1秒待ってちょっとぐりぐりしてね」的な説明文が出る。過去いろんなキャリブレーション画面を見てきたが、最も親切だと思う。

しかもオートキャリブレーションにも対応しているので、普段はオートキャリブレーションだけど、必要に応じて手動キャリブレーションできるという、理想的な機能となっている。

設定画面がわかりやすい

シンプルかつ直感的でわかりやすい。日本語の翻訳は一部怪しいが、十分にわかるレベルだ。

画像の状態が、最も「敏感」にする設定になる。おすすめは移動キー(WASD)とCtrl、Shiftのみこの設定にして、他はデフォルトのままにしておく設定。

ファームウェア更新はファイルをダウンロードして実行する方式で、実行すれば勝手に完了するのでこちらも難しくはない。

ポーリングレートを8000Hzだけでなく1000Hzや125Hzまで変更できるのは珍しい。明らかに遅延が増えていくのがわかるので試してみると面白い。

打鍵感も悪くない

安いキーボードでよく言われるのが

  • なんか全体的にカチャカチャと隙間があるような音がする(通称:マラカス)
  • 押してないのに指載せただけでグラグラして感触が気持ち悪い
  • 押したときの感触がやたらと硬くてエレベーターのボタンを連打しているみたい
  • 全体的にプラスチック感丸出しで安っぽい

といった点だが、IROK ND63 PROはどれも心配ない。特にボディがプラスチック製にもかかわらず、表面仕上げとサイズ、精度、厚みが絶妙でペラペラ感が無いので、E-YOOSO Hz-61みたいな「安いですよ!」感が全く無いのがすごい。

しかもケースの底に、シリコンパッドまで!!PROではないモデルはここがスポンジなのだが、PROはシリコン。手前側がかなり薄いのがちょっと気になるが奥はかなり厚みがある。明らかに打鍵音が静かになり、打鍵感も向上する構造になっている。

スイッチの感触が微妙

唯一の難点、それが採用されているスイッチ。OKT Cyan Magnetic Switch Specificationというスイッチだが、おそらくMU68 PROに採用されている天青軸と同じもの。

前提として「性能には問題なし」なんだけども…押し込んだ時に「ハマる」感触があるスイッチがたまにある。個体差なんだけど、これがかなり嫌。

途中までは一定の力で押しこんでるのに、最後の一瞬だけ「ペコッ」と急に感触が変わる個体が結構な割合で混ざりこんでいた。打鍵時はもちろんのこと、VALORANTの使用時に左右移動キーでこれがあると、結構気になる。

MU68 PROも国内販売代理店MYTREND GAMINGでは交換用TTC KOMやJade Proを付属して販売していた。

とにかくスイッチによって個体差で最後の押し込み部分の感触に差があるので、ゲームに頻繁に使用するキーだけでも、TTC KOMシリーズやJadeシリーズ、Everglide SKYLINE、GEON Rawなどに交換することをオススメ。

自分は全部Jade Gamingに交換した。設定画面の手動キャリブレーションを実施すれば問題なく動作する。

写真でみると分かるが、スペースバーのスタビライザーを装着するための隙間に打鍵音反響対策でシリコンを詰めてある!!これをやるとスペースバーで発生しがちな不快なガチャガチャ音を大きく低減できる。この低価格製品でこの心遣い…やるなIROK…。

カスタムベースとして超最強に優秀すぎてやばい

そういうことなんよ。

ケースの写真を見てピンときた人もいるかもしれないが、実はWootingと同じGH60互換ケースが使用できる。

とはいえネジ穴が微妙に違うので、本来5点で固定するところが3点しか使えない。そのため非推奨とするが…試しにTOFU Redux に入れてみたら使えたので自己責任で使う分には問題なく使える。

この価格で0.02㎜対応のGH60互換PCB、プレート、サイド印字透過キーキャップが手に入ると考えると、破格なのでは???

あまりにも安いうえに、初心者には難しいPCBとプレートの固定やスタビライザー関連の作業をしなくていいのがメリット。

さらに問題となりがちな設定ソフトウェアも日本語対応のWEBドライバが利用できる。

製品の保証はもちろん無くなるが、ねじを外すだけで製品からそのまま流用してケースを入れ替え、キーキャップを交換して自分好みのキーボードを作ることができるので、カスタムゲーミングキーボード入門として非常に優秀だ。

「好きな見た目のキーボードが欲しい!!」という人は、ぜひ1台買って、即バラしてカスタムに挑戦してみてほしい。大丈夫、めっちゃ簡単だから。

IROK ND63とIROK ND63 PROの違い

キーキャップ

ノーマル版は通常デザイン(天面に印字)
PRO版はサイド刻印(手前側に印字)

キースイッチ

ノーマル版はIROK Magnetic Switch
デッドゾーン推奨設定はプレス(上部)・リフト(下部)とも0.2㎜以上を推奨

PRO版はOKT Cyan Magnetic Switch
デッドゾーン推奨設定はプレス(上部)0.2㎜以上を推奨だが、リフト(下部)は0㎜設定が可能

緩衝材

ノーマル版はコットン(スポンジ)
PRO版はシリコン製でより消音・緩衝性能に優れている

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しじまアオ
しじまアオ
EVERBULES代表
PC・ゲーミング系ガジェット好きオタク 物欲に負けることに定評がある あまりにも買いすぎたので、少しでもお役に立てるようレビューやニュースを書き始めた
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